道行く人を上から眺めるのが好き。あの人はこれから何処へ行くんだろう。あれは恋人同士かな。友達かな。あ、あの服かわいい。だけど何故だか、みんな幸せそうに見えて、少し切なくもなる。他人事なのに。本当の事なんて、あたしに理解るはずがないのに。なのに、幸せそうに見える。あたしは何を羨んでいるのか。
昨日、中退した専門学校に久々に遊びに行った。病院の帰りにね。そこには親友二人(だとあたしは思っている)がいて、目的はその二人に会うこと。と、元彼に荷物を返すこと。
自然だった。むしろ付き合う前より自然過ぎて。そしてその自然さが何故か心地よくって。あぁ、あたし達にはこの関係が合ってる。そう実感した。向こうはどうだか理解らないけれど。就職、決まるといいね。頑張れよ。素直にそう言った。今度飲みにいくべ。そう言ってくれた。不思議な気持ちだった。これがなんなのか、きっと理解ることはない。理解らなくていい。あたし達は、これでいい。
親友二人とは、近くのカフェでご飯を食べながら談笑。やっぱり心地いい。あたしの二つ目の居場所。この二人は似ている。強くて頼もしい。あたしとは真逆。だけど、だからこそ得るものが沢山ある。刺激を受ける。その反面、自分の弱さに嫌にもなる。けれどそれを二人は否定しない。ありがたい。この二人と出会えて良かった。たった半年間、一緒に過ごしただけなのに、あたしにはすごく大切な二人。
あたしが中退する時、二人は泣いた。あたしの前で。あんなに泣いている二人を見たのは、初めてだった。つられてあたしも泣いた。学校の廊下で、三人で号泣した。恥ずかしさなんかなかった。ただただ、あたしは幸せ者だと思った。あたしの為に泣いてくれる人がいる。あたしは幸せだ。そう思った。だからあれは、悲し涙ではなかった。その空間が嬉しかった。嬉しくて仕方なかった。
友達は自分の鏡。そんな話を聞いたことがある。果たしてそうだろうか。あたしは友達に恵まれている。あたしには勿体ないくらいの、素晴らしい友達に。あたしはそんな友達の鏡になれているのか。こんな人間なのに。
けれど、これから鏡になればいいのかもしれない。
なれる。きっと。
あたしはこの友達を、絶対に手放したくない。鏡を、曇らせたくないから。