予定調和なのだろうか。あたしは今のところ、母と似たような人生を歩んできている。形は若干違えど、完全に不完全なる歩み。全てにおいて皆、不完全なのだろうけど、そういう意味ではなくて。簡単に言うと若干、波瀾万丈なのだと思う。あたしも。母も。そして偶然にもまたあたしが選んだ道が、母の過去と重なった。あたしは、初夏になろうとする季節、此処を発つ。色々なことを経験し、あたしを作ってきたこの場所を。正確には五月。あたしは新たな道を歩むことにする。この地から離れて、未知の地へ。ただ一人を頼りに。母も今のあたしと同じ歳に、同じ道を選んだらしい。予定調和なのだろうか。
正直、不安なこともある。だって全く知らない町、人、空気の中に飛び込むのだから。けれど、既にあたしの居場所は其処にある。不安だけれど何故だか大丈夫だと思う。可笑しいね。激しく矛盾。だけどあたしはこの道を進みたい。信じて進みたい。もう、そういう歳でしょ。ねぇ、お母さん。
残り約一ヶ月半。あたしの一部を作ったこの場所で、一日一日を噛み締めて生きてゆこう。まぁそんな大袈裟なことではないのだけれどね。ただ、出会った場所でもあるから。これから長い時間を共にするであろう人物と。あたしとよく似た人物と。
もう、春が其処まできている。希望が、すぐ其処まで。だから今を逃げるな。砕けて散ってみればいい。そうやって生きてゆくのだよ。けれどあくまであたしらしく。ね。